東京新聞が報じた資料の意味とは?
村山談話・河野談話に未来はあるか?
第41回 東京新聞が報じた
「元日本兵供述の資料」の意味とは?(その1)
3月23日の東京新聞に「『慰安所隠蔽 軍が資金』
元日本兵供述の資料 専門家『河野談話裏付け』」
という記事が載った。
東京新聞は「朝日より左」とも言われ、慰安婦訴訟提訴の記事に
吉田清治を写真入りで載せて「慰安婦狩りは軍命令」
と報じたことまであったが(1992年12月6日夕刊)、
その体質は一向に変わっていないようだ。
記事によると、その資料は戦時中にインドネシアのバリ島に
海軍兵曹長として駐屯し、オランダ軍によるBC級戦犯裁判で
住民への暴行等に問われ、懲役12年の判決を受けた男性が
帰国後の1962年、法務省の調査に対して行なった供述書だという。
元兵曹長はBC級戦犯裁判で10件余りの罪に問われたが、
いずれも「殴った蹴った程度の事件ばかり」といい、
続けてこう語っている。
私の一番恐れていた事件は、慰安所事件であった。
これは慰安婦の中には、スラバヤから蘭軍下士官の妻君
五人の外、現地人七十人位をバリ島に連れて来た件である。
下士官の妻君五人は、終戦後直ちに送り返したが、
スラバヤ着と同時に原住民に殺されたとのことであった。
この外にも、戦中の前後約四ヶ年に二百人位の婦女を
慰安婦として奥山部隊の命により、バリ島に連れ込んだ。
私は終戦後、軍需部、施設部に強硬談判して、
約七十万円を本件の工作費として貰い受け各村長を
介して住民の懐柔工作に使った。
そして、「これが完全に功を奏したと見え(慰安婦関連では)
一件も訴えが出なかった」と話したという。
この資料を見つけたのは吉見義明と共に活動している
関東学院大教授・林博史で、「河野洋平官房長官談話が
認めた軍の関与を裏付けるもので重要だ」と
コメントしているという。
この資料は、これまで吉見義明が「発掘」してきたような、
軍の「善意の関与」ばかりが書かれている資料とは
かなり性格が異なり、確かに相当の問題を含んでいる。
ただしそれは「河野談話を裏付ける」とかいうものとは
全く別の話であり、それを林も東京新聞も
まったく理解していない。(つづく)