河野談話の「作成過程の見直し」の意味とは?
村山談話・河野談話に未来はあるか?
第32回 河野談話の「作成過程の検証」の意味とは?
3月14日の参院予算委員会で菅義偉官房長官は、
「河野談話を継承する」と明言する一方、
「河野談話の作成過程を検証する」方針を示した。
談話の「内容」は見直さない。
しかし「作成過程」を検証するというのだ。
菅は、河野談話作成に携わった当時の官房副長官・石原信雄が
2月20日の衆院予算委員会で当時の経緯を証言したことから、
「作成過程」の検証が必要になったと言う。
石原は河野談話を作成する過程の中で、
韓国側との間ですり合わせが行われた可能性を指摘した上で、
次のように証言した。
「河野談話によって過去の問題は一応決着した、
そしてこれから日韓関係は未来志向で行きましょうということで
取りまとめが行われ、当時はそれによって韓国政府は
この問題を再び提起することはなかった。
しかし、最近になって韓国政府からこの問題が再び提起される状況を見て、
当時の日本政府の善意が生かされておらず非常に残念だ」
この証言から菅は、以下の3点が検証のポイントだと言った。
1. 元慰安婦の聞き取り結果の裏付け調査を行っていないということ。
2. 作成過程で韓国側と意見のすり合わせがあった可能性。
3. 当時の日本政府の善意が生かされておらず非常に残念であるということ。
何が言いたいのかというと、本連載の第10話で書いた話だが、
河野談話は当時の日韓両政府の「談合」の産物であり、
裏付けもない元慰安婦の証言を根拠に、
日韓両政府が内容のすり合わせまで行ない、
事実に反してもとにかく一度謝りさえすれば
この問題は収まると韓国政府が言うから、
日本政府としては「善意」で謝罪した…という作成過程を
明らかにしたいということらしい。
だが、それでどうなるというのか?
「ありもしない事実を善意で認めて謝罪したんだから、
もう蒸し返すな」と韓国政府に言うのか?
しかしその主張は「河野談話の内容は事実ではない」ということが
前提になる。
それを韓国側が今さら認めるわけがないし、
アメリカの「失望」が「絶望」に変わるだけだろう。
「日米同盟」最優先で、「集団的自衛権」が悲願と考える安倍政権で、
「河野談話」に抵抗しようなんて本気で考えるはずがないのだ。