2013.04.19(金)
自民党の憲法改正草案はアホである。
昨日、配信した『小林よしのりライジング』で論じたが、
自民党が企む「憲法96条改正」は「硬性憲法」の改正ハードルを
徹底的に下げて、立憲主義を崩壊させる無茶苦茶なものである。
自民党の憲法改正草案を読むと、自称保守論壇の俗説が
そのまま反映されている馬鹿馬鹿しさに笑ってしまう。
曰く「日本の憲法改正のハードルは、世界的に見て高すぎる」
曰く「日本の憲法は、国民の権利ばかり書いてあって、義務が書かれていない」
曰く「西欧の天賦人権説に基づいた基本的人権は間違いである」
曰く「天皇は象徴だけでは物足りないから、元首であることを銘記すべきである」
曰く「国旗国歌を銘記すべきである」
自称保守論壇では当たり前のように流通している俗説を、
そのまま憲法に反映させ、挙句の果ては道徳まで憲法に書いてしまう
馬鹿さ加減にめまいがする。
近代憲法はそもそもが設計主義であり、日本の伝統的なルール感覚とは整合できない。
近代憲法は天賦人権説をフィクションとして仮定することから作ったはずである。
護憲派も改憲派も、日本人ほど近代憲法に執着している例も、世界では珍しいだろう。
大概、解釈改憲でやりすごしている。
日本の自称保守のように、憲法さえ変えれば「戦後レジーム」から
脱却できて、理想国家が作れると妄信していること自体が、
完全なるカルトである。
しかし政治家だって落選すればただの人なのに、
よくここまで「権力が国民を縛る憲法」を作ろうとするもんだな。
よっぽど国家権力を信用してるんだろう。
「表現の自由」だけでも現行憲法の規定を守らなければ、
将来わしの言論も危ないな。
来年は『憲法論』を漫画で描いて、人々に気付かせるしかないかも。