2019.08.13(火)
NHKスペシャル「日本新聞」のこと
昨日、寝る前に「NHKスペシャル」で、戦前最大の右派メディア「日本新聞」のことをやっていた。
これは貴重な番組だった。
こういう番組は民法ではやれまい。
日本が大正デモクラシーで自由の空気を謳歌していた時代から、たった10年余りで一気に軍国主義に傾斜していったのは、「日本新聞」という国粋主義のメディアが重要な役割りを果たしたらしい。
なんだかこの新聞、「産経新聞」に似た感じもあるのだが、同志の名簿には、近衛文麿や頭山満や東条英機など、そうそうたる名前が連ねられていたという。
空気を一気に変える威力としては、わしの『戦争論』に通じるし、戦後、完全に忘れられていた頭山満の名前をわざわざ出してくるところなども、わしの『大東亜論』を意識したのかという邪推をしたくなる。
ロンドン海軍軍縮条約から「統帥権干犯」、天皇機関説排撃などの世論を作ったのが「日本新聞」だったという番組の主張だ。
日本が軍国主義に傾いたのは、いろんな要素があるので、この一点が元凶と断ずることは出来ない。
言っておくが、頭山満は金玉均や孫文を支援していた「大アジア主義」だったので、日本の覇権主義を肯定していたとは思えない。
もともと「天皇主権」だった明治憲法を原理的に解釈すれば、天皇機関説はある意味「解釈改憲」になり、当時の国粋主義者が主張した意見は、明治憲法の初心に戻る運動になってしまう。
つまり国粋主義者こそが「護憲派」だったことになるのだ。
この辺の矛盾に目を向ければ、「解釈改憲」がいかに危険かという話になるのだが、それはNHKも護憲派も見ようとしないだろう。
明治憲法では軍の暴走を縛れなかった。
今の憲法も自衛隊を縛れない。
こういうコンセプトで番組を作ったら凄いのにね。
でもNHK、いい番組を作っている。