2019.08.09(金)
天皇制か、天皇制度か、天皇の制度か、皇室か
わしは「権威主義」が嫌いで、大学の偉そうな人物のご託宣を真に受けることはない。
産経新聞の正論欄で、渡辺利夫氏が「天皇制」という言葉を嫌悪すると書いている。またこれかと思う。
天皇制は左翼用語だと右派が言い始めてから、まことの尊皇心がある者なら「天皇制」という言葉は使わないということにされている。
その影響で、なんと共産党までが「天皇の制度」とか妙な言い方をし出した。
八木秀次が「天皇制」はダメ、「天皇制度」と言いなさいとか言ってるときから、何が違うんじゃい!と思っていたが、いまだに右派の中にはこんな妙なこだわりがあるらしい。
この渡辺という学者は、では何と表現すればいいのかを書いていない。まさか「帝室」ではないだろう。
わしの場合は読者にとって分かりやすい場合なら、なるべく「皇室」で通したいと思っている。
だが、天皇についての思索を描くときに、常に「皇室」で通すのは難しい。
なぜなら現実に憲法の中に「制度」として組み込まれているからだ。
憲法の外にある存在なら「皇室」で叙述できようが、憲法や皇室典範などの法の中に収容されているので、「天皇制」と叙述するしかなくなる。
福沢諭吉の「帝室論」では、「帝室は社外のものなり」とあるが、4月28日の「主権回復記念日」(沖縄では屈辱の日)に天皇皇后両陛下を呼んで、万歳三唱した右派の者どもを渡辺氏は批判したのだろうか?
あのとき、沖縄県民の心を大切に思っておられる天皇陛下の気持ちはいかに苦しかったことだろうか?
天皇の政治利用はいけない。
だが、権力は何度もそれをやっている。
産経新聞に巣食う知識人どもは、民主党がそれをやったら怒るのだが、安倍政権がやったら怒らない。
全くの二枚舌である。