ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』上巻を読んだ
ユヴァル・ノア・ハラリというイスラエル人歴史学者の『ホモ・デウス』という本が全世界400万部突破という驚異的な売れ行きらしい。
「人類はどこへ向かうのか?」と帯に書いてあって、上下巻の大著だが、正月くらいしかこんなスケールの大きな本は読めないなと思い、読み始めた。
ところが上巻を読み終わったところで、「なんて退屈な本なんだ」と呆れてしまった。
普通の進歩史観で人類の歴史が書いてあって、どうやら単純な科学万能・合理主義で、警告発しながらも、このままいけば人類は神になるという筋書きらしい。
個々の情報としては面白い箇所もある。
科学が「人間至上主義」の宗教を誕生させたと書いてあるのは頷くし、自由主義・共産主義・ナチズムなどを「人間至上主義」の宗教と書いている。
この点は、わしと同じ認識だ。
新約聖書の「レビ記」には「女と寝るように男と寝てはならない。それはいとうべきことである」「必ず死刑に処される」とまで書いてあるというのは面白い。
キリスト教はイスラム教と同様に同性愛を禁じている。
立憲民主党のリベラル派は、同性間の結婚を法的に認めようとしているらしいが、彼らが奉じる「人権思想」だって、キリスト教から派生して「自然権」を想定した「人間至上主義」の宗教のはずである。
同性カップルの差別をなくすのは賛成だが、結婚制度は大丈夫なのか?
次は科学の力で子供を欲しがるのではないか?
『ホモ・デウス』では、AIで革命がおこるみたいなことを言うが、新井紀子氏の本を読んだ後では、眉唾に思えてくる。
四角形の、各頂点からの距離の和が一番小さくなる点をスパコンで計算させたら、宇宙が始まってから現在までよりも長い時間を要するそうだ。
AIは単純計算なら役立つし、ホワイトカラーの職を奪うだろうが、人間の「常識」すら学べない限界がある。
人間は不死にはなれないし、神にはなれない。
そもそも神は幸福なんて感じる存在か?
この本、下巻も読む価値があるのか?悩むわ。