2018.11.22(木)
「人類皆兄弟」的な人権はない
「小林よしのりライジング」の読者のtasuuって人は真面目な人なので答えてあげます。
日本が近代国家であり、憲法を採用していて、その憲法に「基本的人権」が保障されている以上、権力は国民の人権を侵害することはできません。
ただし、「国民」の人権を保障しているのであって、「外国人」の人権ではありません。
だから、国家以前から人権があったとか、国家の枠組みに入らない人間の人権まで、権力が守る必要はないのです。
だからこそ、外国人労働者を超低賃金で働かせても、憲法における基本的人権の侵害には当たらない。
それゆえ外国人労働者から失踪者が続々出ている理由に、官僚は「より高収入を求めて」などと妙な文章をひねり出すのです。
「超低賃金だから」というのが本当の理由ですが、そう書くと「外国人の人権無視」と非難されます。
憲法は「外国人の人権」まで保障してないのですが、「国家を超える普遍的人権」が存在しているかのような妄想が人々の間に出来上がってしまっているから、余計な非難を巻き起こさないように官僚は考えて、「より高収入を求めて」なんていう夢見るような文章を編み出すのです。
政府も経済界も、これからも「超低賃金」で働かせる人材が欲しいのだから、「超低賃金だから」という真実は書けません。
あくまでも「より高収入を求めて」と希望があるかのような書き方をするのです。
国家以前の人権とか、国民以外の人権とか、そういう「人類皆兄弟」的な人権は「ない」のです。
人権は、その人物が帰属する国家に守ってもらうしかないということです。
けれど、わしの『民主主義という病い』と『新堕落論』には、もっと深遠な思想が封じ込まれていますがね。
もう庶民の限界を越したと思ったから、こんな思想書は描かない。