自称・中流、9割の衝撃
今朝の朝日新聞の、小熊英二、井出英策両氏の「論壇時評」
は面白かった。
内閣府の調査によると、いまだに全体の約9割が中流だと
考えているという。
これには驚いた。
「9割が自分を中流」だと思い込んでいるって凄くないか?
客観性がまったくない!
年収300万円以下の労働者は今や4割以上である。
平均所得以下の者は6割を占めている。
非正規労働者が2000万人以上いて、その7割が年収200万円
以下だという。
非正規雇用で働く男性の半分は、世帯収入を支える主稼得者で、
その男性の37・5%が必死で働いても困窮するワーキングプア
になっている。
もちろん女性の非正規雇用の47・57%も生活困窮者だ。
そんな惨状なのに「9割が自分を中流」だと思い込んでいる!
生活が苦しいと実感しているのに、自分はまだ中流の下位
あたりに踏みとどまっていると信じている者たちが、
NHKで放送された貧困に苦しむ女子高生を見たとき、
「自分の方が苦しい」と怒りの声を上げていたのだ。
自分の血税を、こんな甘ちゃんの女の子の生活保護なんかに
使わせてたまるかと。
ネット右翼は実は「年収が多い」「子供がいる」「男性」で、
「正社員のお父さん」だったりするという。
彼らは終身雇用や専業主婦などの昭和の価値観を達成したい
と思いつつ、それが危うくなっている不安感・恐怖感から
生活保護受給者などの弱者を叩くのだ。
これはトランプを支持した層と同じで、低所得層の増大に
危機感を抱く中間層が、自分より下層を叩く人間心理から
らしい。
下層の増大が自分の安定した暮らしを脅かすと思うのだろう。
上を攻撃せずに下を攻撃するのが、日米の右派の共通の
心性のようだ。
サンダースの支持者の方が、上を攻撃するから、まだ知的
なのだろう。
弱者に優しい政策をとると、右派・中間層が「甘えさせるな」
と反発する。
だから弱者に厳しい安倍政権が支持を得る。
「9割が自分を中流」だと勘違いしているのは、安倍政権に
とっては実に愉快な状況だろう。
もっと絶望が必要だ。
わしは上流層だから、美女とワインでも飲みながら、
勘違い中間層の断末魔の叫びをBGMに、ゆったりフレンチ
でも楽しんでいよう。