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2016.03.08(火)

ドーピングがない漫画家という職業

 

シャラポワがドーピングで陽性反応が出たらしい。
病気のせいで薬物を使用したのか、試合に勝つために
誘惑に負けたのか、それは分からない。
スポーツ選手は試合のストレスに負けて薬物で
乗り切ろうとする者が案外多い。
清原も覚せい剤打ったのは、ストレスからかもしれない。 

しかしわしは思うのである。
漫画家はドーピングが出来ない。
薬物に頼ってアイデアを出すことなんか出来ない。 

『東大一直線』の頃は毎週連載してたから、ギャグが
出なくて、円形脱毛症になったこともある。
『おぼっちゃまくん』の頃も睡眠不足で座って考えて
いたら寝てしまうので、立って部屋の中を歩き回りながら
考えていた。
あのころ、覚せい剤が目の前にあったら、誘惑に
負けていたかもしれない。
だが、妄想では漫画にならないので、やらなかっただろう。 

今も『大東亜論』のコンテをやっているが、アイデアが
出ないとまったくのどんづまりになって、先に進めない。
ストーリー展開事態の面白いアイデアも必要だが、
細部のギャグのアイデアも、考えて考えて、締め切りが
来る前に閃かなければならない。

脳をもっと活性化させようと、ユンケルかビタC飲むことすら
奥さんから薬物使用はダメだと妨害されてしまうので、
コーヒー飲んでみたり、緑茶飲んでみたり、ガム噛んで
みたり、風呂に入ってみたり、七転八倒でアイデアを
考えている。
ビタCはドリンク剤だから問題ないと思うのだが。 

『大東亜論』のコンテ、今日中に上がりそうだが、
今のところわしは面白いものが出来るはずと
思っている。
昨夜は自分で思いついたネームに吹き出して
しまったくらいだ。
だがネームを全部入れてみないと、まだ確信が持てない。
コンテを描き上げてから、やっぱり駄目だとボツに
したことは何度でもある。

湯水のようにアイデアが沸く薬物があるなら、
違法だとしてもやってしまうかもしれないが、
そんなものはない。
したがって漫画家の場合は、自分の脳みそだけで
勝負するより他にないのだ。
シャラポワより、わしの方が精神力は強いと言えるだろう。