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2016.01.04(月)

新聞各紙のグローバリズム社説を批判する

 

念頭にあたっての各新聞の社説を読むと、
グローバリズムへの推進を主張する論説がやけに多い。

日経新聞は「グローバル化の大波に乗り成長を」と鼓舞し、
産経新聞は「五輪とTPP生かす知恵絞れ」と言い、
家計の財布のひもが緩まず、企業が投資をしないのは
「縮み思考」だと嘆く。 

年金まで博打に使ってりゃ、将来不安で貯金するしか
ないよと庶民は思うだろう。
個人消費が伸びないなら設備投資してもリスクが高いと
企業は考えるわけだ。

TPPをやれば国際分業体制が進むから、
日本のすべての産業が勝つわけではない。
必ずボロ負けして消滅する産業も出てくるのだ。
食料自給率が落ちたら、輸出する国の天候不順や
天変地異で、食料が輸入できず、飢餓が拡がることも
予想される。 

メキシコや韓国のFTAの結果を見れば、TPPの陥穽も
分かるはずなのだが。
そもそもTPPの条件規約をマスコミはなぜ具体的に
報じてくれないのか?
アメリカに取られたルールは多いはずなんだが。 

朝日新聞も「グローバル化の中で」、「増幅する
扇動政治家」が出てきていることを批判するが、
グローバリズムはアメリカのルールの普遍化であり、
テロが起こる要因であり、民主主義を破壊する要素でも
あるということに、まだ気づかないのだろうか? 

グローバリズムはアメリカニズムと言われて久しいが、
その意味の深刻さをマスコミも言論人も
全然わかっていない。
イラク戦争のように「手遅れ」になるまで気づかないのだろう。 

経済成長が必要ないとは言わないが、その手段をTPP
グローバリズムに求めたら、格差はまだまだ開いて、
国柄や中間共同体が破壊される。
それが国民から活力を奪い、経済成長を妨げる。
悪循環の繰り返しだ。 

アベノミクスはハイエクとケインズを同時に行うという
手法を取っているが、公共事業も市場経済も、
国柄を守りながらやるべきである。
国家ビジョンが先なのだ。
ハイエクも真の個人主義は共同体の伝統や慣習に
根付いた個人だと言っているではないか。
ハイエクで新自由主義に邁進しながら、ハイエクを
読んだこともないのだから、どうしようもない。