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2015.07.20(月)

京都国際マンガミュージアムでのトークイベントの件

 

京都国際マンガミュージアム「マンガと戦争展」で、
呉智英氏と対談した。

呉氏とは『戦争論』がヒットしている頃に会った記憶があるから、
多分17年ぶりだと思う。
髭に白髪が増えたようだが、イメージは変わってない。
相変わらず矍鑠とした態度で、唯我独尊な感じが頼もしい。

「マンガと戦争展」の前で
↑ 呉智英氏と「マンガと戦争展」の前で

呉氏の話でいくつか気になったことを書いておく。
『救世主ラッキョウ』から、わしが人を扇動する何かに
目覚めたと言っていたが、あれは何を意味しているのかが
掴めなかった。

『大東亜論』に関しては頭山満一人を歴史の主軸として
語るつもりはない。

頭山ら玄洋社の面々や、頭山に関わる知識人や
金玉均・孫文らを描きながら、明治から昭和への
近代主義の陥穽を点検し直すことに眼目がある。

テロで何かが変わると描きたいわけでもないが、
来島恒喜が大隈の条約改正を葬ったことも歴史の事実。

歴史は神が動かしているのではなく、人間が
動かしているのである。

強力な個人の玉突きで歴史が動くのは今もそうで、
歴史を動かす主体は政治家でも官僚でもない。

今回の解釈改憲による安保法制でも、カールシュミット流に
国家主権を行使しているつもりで、民衆の歓呼にも担保されず、
ブーイングしか起こせないような演説力では話にならない。
例外状況がないときに独裁者を気どっても、
ピエロになるだけなのである。

呉氏が言ったシベリア抑留は漫画にならないという見解は
確かにそうだが、方法論を考えてみる。
呉氏は会って何か話せば、どうしても触発される人だ。

しかし角南氏が亡くなっていたとは知らなかった。
わしを10万馬力から100万馬力にしてくれた編集者だった。

『戦争論』パネル展示
↑ 『戦争論』のパネル展示

京都国際マンガミュージアムはかなり凄い施設だった。
歴史を感じさせる学校の校舎を改良して、膨大な漫画本を
収納し、完全に漫画ファンに扉を開き、しかも選挙の時は
地域の投票所としても利用されているという。
訪れる子供から大人までがミュージアムのあちこちで
漫画を読みふける姿は感動的ですらある。

京都に来た時は一度寄ってみるといい。

サイン
↑ サインした。施設内に飾られるそうだ。探してみてクリ

サイン
↑ 併設されているカフェの壁にもサインした

漫画家の手形が飾ってあって、わしも手形とられてしまった。
死んだらデスマスクならぬデスハンドになるな。

手形