岡本行夫はリアリストか?
産経新聞の「正論」欄の岡本行夫の評論を読んだ。
「世界の現実を踏まえた憲法論議を」というやつだ。
わしは敵側の論理を研究するのが好きだ。
自称保守やネトウヨは「見たくないものは見ない」で逃げるが、
わしは右から左までの理屈に目を通す。
それを論破するのが楽しい。
これは論破できないと思えば、自分の考えを変える。
真理に近づくことだけが目的で、自分の頑迷な意地など
持たない。
岡本行夫はなかなかリアリズムを臭わせる論理を
展開するのが上手い。要注意人物だ。
だがこの「正論」欄の論理もすぐ打ち破れる。
ただし、自称保守派はこれに激しく首肯して騙されるだろうし、
反戦サヨク護憲派の頭脳ではこの岡本理論は
打ち破れないだろう。
宮台真司氏との議論でもそうだが、わしが「面白い」と言うのは、
「こういう理論の組み立てがあるのか」という意表を
突かれた故の面白さである。
「さあ、熟考して考えて、徹底論破せねばならぬな」
という意欲が沸き起こる「面白さ」である。
それが思想する「面白さ」だ。
しかし、いつも聞いてる意見と、違う意見がぶつかり合って
「面白かーー」という感想は、刺激だけ求める
堕落した「面白さ」であって、そういう堕落が
わしは嫌いなのだ。
そういうことだから、岡田斗司夫の詐欺的屁理屈でも
「刺激的で楽しい」という感想が出てくるのだ。
そういう奴は芸能人の突拍子もない屁理屈か、
カルト宗教の教祖の説法を聞いて、
刺激を受けていればいいのだ。
安保法制の議論にしたって、政治家だって分かるわけがない。
マスコミも国民も分かるわけがないから、強行採決の道に
突き進んでいるだけで、それが済んで法案が成立したら、
どうせ分かってない国民はすぐ忘れてしまう。
「自分の頭で考える」という「楽しさ」が全然分かってないから、
単なる刺激が麻痺してしまい、すぐ忘れるのだ。
岡本行夫や他の自称保守の考えは、「立憲主義より、
恐すぎる安全保障環境」という感覚が全てで、基本的に
憲法の意義も、法治国家の意義も、軽んじる立場である。
岡本の言う海上防衛の例に対して、全部わしは解答が
出せるが、いずれ精密に簡略に『新戦争論2』で描こう。
ちなみに岡本行夫は、小泉首相の時の内閣官房参与で、
イラクが大量破壊兵器を持っていることは間違いないと
断言して、イラク戦争を支持した大馬鹿者である。
今その時代の主張を読んでみたら、大笑いできるくらい
刺激的で楽しい。