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2015.06.12(金)

舞台「アドルフに告ぐ」がすごく良かった

 

横浜で舞台『アドルフに告ぐ』を見た。

手塚治虫の名作を舞台化したものだが、素晴らしい出来だった。

知ってる役者は鶴見辰吾しかいなくて、さすがに安定した演技
を見せてくれた。

3人のアドルフを演じる役者の熱量が凄くて、女優が美しいし、
原作にない少女も印象的だった。

最初から最後まで緊張感が途切れず、見終わってしまった。

この作品のテーマの奥深さを見事に描き切った演出で感動した。

『アドルフに告ぐ』は「週刊文春」に連載されていたが、
当時は壮大なドラマの一端を毎週、垣間見るしかなく、
難しい話だなあと思っていたが、実際連載中はまったく
人気がなかったらしい。

だが編集部が腹を決めて最後まで描かせたから、
こんな凄い作品が生まれたのである。

単行本が発売されたら、表紙カバーが手塚の絵でなく、
大人向けの油絵みたいなものになっていて、
驚いたものだ。 

わしも現在、大人向けの、社会性や歴史性のある壮大な
ドラマを描いてみたくて、その一つが『大東亜論』だが、
7月発売の『卑怯者の島』もそういう挑戦の一つだ。

『卑怯者の島』はまさに『アドルフに告ぐ』のような大人向け
単行本の表紙にしてほしいと鈴木成一氏に頼んで、
デザインしてもらった。

舞台を見てから『アドルフに告ぐ』をもう一度、読み返して
いるが、やっぱり手塚の表現は上手い。

劇画に負けじと背景を描きこんでいるし、編集者が
相当史料を収集していたらしいから、
考証がしっかりしている。

やっぱり編集者の役割は大きいんだよな。 

よしりん企画のスタッフ諸君は、この作品を読んだ方がいい。

日曜日に無駄に遊んでいないで、漫画なんだから、
このくらい読みなさい。

わしは絵の描き方が気になって、ページをめくるのが
遅くなるのが辛いところだ。