本屋が本に落書きして売っているようなもの
「ゴー宣道場」の門弟からこういう投稿があった。
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昼にスマホで見てびっくりしました。
クラッキングでも受けたのか!と。
運営会社の悪ふざけと知って一安心ですが、
後味は最悪です。
脱脂粉乳をむりやり飲まされたような気分です。
面白くもなんともないし、何より作家と作品に対する
敬意が感じられない。
場所を提供しているから好きに使っていいとでも
思っているんでしょうか。
本屋が本に落書きして売ってるようなものでは
ないですか。
そんな本を掴まされたら即座に交換させるし、
作家には訴える権利さえあるんではないでしょうか。
( M氏より)
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今回のドワンゴの悪ふざけには、ネット住人の
根本的な姿勢が表れています。
それは一種の価値相対主義です。
価値紊乱主義と言っても良いでしょう。
ネット上の主張なら、どんな内容だろうと、
発言すること自体は止めない。
主張の内容に優劣をつけない。
『小林よしのりライジング』で書かれていることも
「2チャンネル」で書かれていることも、
同レベルで扱う。
その結果、文章に込めた真剣さに無頓着で、
軽い文章が流通する場所のノリを持ち込む。
ネットが日常生活の一部になっている現在、
多くの人が主張や表現を発信するようになりました。
それにより、質の悪い表現が存在を許されています。
「主張は個人の自由だから」
「ネットとはそういうものだから」という
呑気な言説は、とうの昔に通じなくなっています。
(T氏より)
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君たちは鋭い!ちゃんと分析している。
わしも何者かから攻撃を受けたのかと思った。
これで仰天しない方がおかしい。
怒らない方がおかしい。
ブロマガと言えども、真剣に作っている「作品」
であり、客に購入してもらっている「商品」なのだ。
落書きされた「商品」なんか売っていいはずがない。
あちこちから「夜露死苦」で荒らされてると報告が
あるので、岸端に言っても、時浦に言っても、
「エイプリルフールだからドワンゴの悪ふざけじゃ
ないですか?」と言って、本気で怒らないのだ。
「ネットはいいかげんなものだ」という諦観を持って
いるらしい。
わしは二人とも叱ってやった。
わしは紙媒体だろうが、ネットだろうが、真剣に
書いている。
いつかネットの世界でも、価値の優劣がつけられる
だろうと期待してたのだ。
だが、ダメだな。
むしろ悪貨が良貨を駆逐するのがネットの世界だ。
こんな無茶苦茶なことをされるのなら、
絶対にネットで漫画なんか描けない!
やはり紙媒体の表現に力を入れるべきだとつくづく
思った。
しかし、「本屋が本に落書きして売ってるようなもの」
という例えと、「ネットの世界は価値紊乱主義」という
分析は、まったくその通りだ。
門弟がこれを言ってくれて、少し気が晴れた。