「河野談話」の最悪の謝罪
村山談話・河野談話に未来はあるか?
第36回「河野談話」の最悪の謝罪
いわゆる「河野談話」は正式名称を
「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」
という。
その内容は「第2次調査」の報告書を要約し、
それに対する政府見解を述べたものである。
第2次調査の報告書と同様、ここには「強制連行」の語は
一切出てこない。
「本人たちの意思に反して集められた」のだから強制連行
みたいなものだというすり替えがここでも行なわれ、
さらに裏付けのない証言を基に
「官憲等が直接これに加担したこともあった」
と書かれていた。
さらに「その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、
総じて本人たちの意思に反して行われた」と付け加えられている。
この「総じて」という語は韓国政府からの要請で、
多少もめたが結局入れられたものらしい。
実際には慰安婦は高給だったから、当時の貧困の社会背景を考えれば、
本人もある程度納得し、同意していた場合も相当数あったはずなのだ。
ところが「総じて」を入れられたことで、そのほとんどが
自らの意思に反して無理やり慰安婦にさせられたと認めたことに
なってしまったのである。
それでもまだ「官憲等」が「加担」したものは例外的なケースとして、
限定的な謝罪に留める方法は残っていた。
ところが、政府見解として河野洋平官房長官が書いたことは、
最悪の謝罪だった。
それは、こういう文言だった。
「いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、
多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。
政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、
いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、
心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し
心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」
これではもう、強制連行の有無すらどうでもいいものに
なってしまっている。
募集等の方法がどんなものであろうと「いずれにしても」
「軍の関与の下」「女性の名誉と尊厳を傷つけた」から
「お詫びと反省」を表明すると言っているのだ。
これはいくらでも拡大解釈が可能な謝罪だった。