YOSHINORI KOBAYASHI OFFICIAL SITE | 小林よしのり公式サイト

小林よしのりオフィシャルwebサイト

PROFILE LINK CONTACT
2023.08.07(月)

民俗学を描かなかったのは失敗だった

 

ジャニーズ問題の日本人のイカレ具合を見ていると、日本人は江戸時代以前の日本の歴史を全く知らないということに気付いた。
わしは「新しい歴史教科書をつくる会」の活動をしていた時に、あまりにナショナリズムからの観点に特化しすぎて、網野善彦や柳田國男などの民俗学を無視しすぎていた。
民俗学は国家を相対化させる左翼の学問だという偏見を持っていた。

だが、ジャニーズ問題を見ると、江戸時代までは日本人は男色文化が浸透していて、特に少年を性の対象にする文化が普通だったということを、誰も知らない。

フランシスコ・ザビエルが日本に来た時に、庶民の男色文化に怒り狂ったのだが、それを庶民に話しても、げらげら笑っていたのだから、キリスト教文化と日本の文化は天と地の開きがある。それほど常識が違っていたのだ。

女人禁制で男の人数が圧倒的に多ければ、あぶれた男は美少年に手を出すようになってしまうのだ。
このような庶民の文化、庶民の感覚を、日本人はもう誰も知らない。
わしが70歳にもなって、このことに気付くとはあまりに遅い。
今から民俗学的な視点からの日本の歴史を描かねばならないのかもしれないが、もう間に合わないだろう。

キリスト教的「純潔」主義は、なんと自称保守の間にも、統一協会によって伝播されてしまったから、自称保守はLGBT反対になってしまう。
あいつらはもう日本人ではないのだ。

ところが左翼だって人権真理教の浸透で、キリスト教的な性感覚に陥っているから、少年愛には嫌悪感しか持たない。
左翼は少数派に加担するから、LGBTまでは認めるが、少年愛は犯罪としか思わない。
わしだって、少年愛には嫌悪感を覚える人間になってしまったが、それが何の影響なのかを知っている。

ジャニー喜多川にヒステリックなまでの嫌悪感を抱かないのは、日本人の歴史を知っているからで、北公次や豊川誕の昔からジャニー喜多川の性癖は有名だったのに、我が子をジャニーズに入れたがった親の感覚も、好意的にとれば、江戸時代までの日本人の感覚を継承していたからだろう。

「知らなかった」というのはおかし過ぎる。
現代のファンの少女の間でも有名だったのに、それでも親が「知らなかった」というのは、もはや自己責任であり、あとは本人が嫌だったら逃げるしかなかった。

枕営業的に受け入れていたから、成功しなかった自分への慰めとして、死者に鞭打つ道を選んだのだろう。
慰安婦もそうで、親に売られたことを認められず、自己肯定するには日本軍を悪にして、被害者になるしかなかったのだ。

人間の心理は複雑である。
日本人の歴史を知らず、キリスト教的人権感覚でしか見てない国連人権委に、裁かれることは、フランシスコ・ザビエルに裁かれているようなものだ。
日本人は、明治以降、強烈に劣化したのである。