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2021.08.15(日)

『戦争論』の凄さとは?

 

終戦記念日だそうだ。関口宏の番組で、半藤一利を紹介していた。
「日本の一番長い日」は凄い作品だった。
膨大な知識量があるから敬意を払うが、「サヨク」なのが残念だ。

戦争を語るときは、必ず敵国の方も断罪しなければならない。
自国だけが愚かな悪だったという判定ならば「サヨク」である。
敵国だけが悪だったというのは「ウヨク」である。
だが、どっちもどっちだったというのは「価値相対主義」であり、「サヨク」である。

大東亜戦争とは何だったか?という問いと、戦争とは何なのか?という問いは別物である。
問いの立て方からして共通理解を得られぬまま議論するから、建設的な議論にはならない。

「大東亜戦争」という名を使えば「右翼」という偏見まで出来上がっているようでは話にならない。
「太平洋戦争」という名は、戦時中に使っていない。
わしは歴史的に使われた名前だから、「大東亜戦争」を使っているだけで、戦後教育で育った秀才は絶対「太平洋戦争」を使う。

太平洋を挟んで日本とアメリカが戦った戦争ではないのに、アジア全体を巻き込んでいたにも関わらず、「太平洋戦争」を使うこと自体が、わしは主観を失っている日本人だからだと、見ている。

このように、先の戦争に対する「観念」がそもそも全然、違っているから、日本人の共通理解に達するのは、相当難しい。
わしが描いた『戦争論』はその基本的な立場が、我ながら見事だと思う。
「主観」がはっきりしていることと、戦後教育に洗脳されていないこと、これが『戦争論』の凄さであり、歴史に残る書物だと確信している。