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2019.02.23(土)

羽鳥慎一はバランス感覚が優れている

 

羽鳥モーニングショーの「そもそも総研」で玉川徹が炎上商法の漫才師・村本を取材し、「テレビは真実を伝えるものではなく、安心させる道具だ」と言われてショックを受けていた。

この番組がネットで評判になり、羽鳥が「黒い本性全開」などと批判されているので、今日、録画を見てみたら、笑ってしまった。
羽鳥にそんな印象は全然持たなかったし、宇賀アナが泣いてるようにも見えなかった。
テーマとして、つまらないことをやってるなあというのが感想だ。

そもそも村本の炎上ツイッターは「真実」を伝えているのか?
炎上したら議論のきっかけになるという論法は単なる無責任でしかない。
人を殺して「人はなぜ人を殺してはいけないのか?」と言えば、議論にはなるだろう。
議論のきっかけになるなら無責任も許されるとする者が、テレビは真実を伝える道具じゃないと主張するとは、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
自分の言葉に責任を持ちなさいと諭すのは、相手が子供ならやってもいいが、いい年こいたおっさんにそんなことから諭すのは無駄だ。

『ゴーマニズム宣言』は尖った言論に見えるかもしれないが、無責任に、意図的に、摩擦係数を高くしているわけではない。
『ゴー宣』には、編集部からの徹底したファクト・チェックが入ってくる。
わしも思いつくままに表現しているわけではなく、資料としての専門書を読んでいるし、編集者も資料に当たって、ファクトチェックする。
真実を伝えたいのだから、反射神経のみで描いてるわけじゃないのだ。

沖縄の住民投票でも、原発問題でも、厚生省の統計データ改ざんでも、何でもテレビでやればいい。
視聴率を取るのは玉川徹のアイデア次第じゃないか。
無責任発言の村本にお伺い立てる必要がどこにある?

自分の生活に直結しない社会問題に、人々が関心を持たないのは当たり前だ。みんな、忙しいんだ。
フリーランスの奴は自分の提供する話題に人々が乗ってこないと、人々が悪いと言いたくなるのは、わしとて同じだ。
だがそれは「愚民思想」だと自分の肝に銘じなければならない。

テレビは人を不安にさせたり、考えさせるストレスを与えれば、視聴率は取れない。
視聴率をまず取らなければ始まらない。
読者のストレスを快感に変える努力を、わしは何十年間もやってきたが、テレビマンも同じ努力をすればいいだけだ。

羽鳥慎一が村本の無責任発言に「違うと思う」と言い張った根性は大したものだ。
羽鳥はプロの覚悟を持っている。
羽鳥は橋下徹と組んでた時は、橋下の強引さに引きずられていたが、今のモーニングショーでは、抜群のバランス感覚だと褒めておく。
この番組は他の報道番組より、快感とストレスのバランスが優れていて、スタッフも優秀だと思う。