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2019.01.05(土)

手塚治虫『シュマリ』全4巻を読んだ

 

手塚治虫の『シュマリ』全4巻を読んだ。

古谷経衝はこの作品の中に「アイヌはこの土地の先住民で」という台詞が「頻出」すると書いていたが、「先住民」という単語は出てこなかった。

そもそも「シュマリ」という主人公は和人であって、アイヌではない。
この作品は和人と和人の戦いの話であり、アイヌは和人に搾取される人々として、背景に描かれる。

なぜ「シュマリ」という名なのに、主人公をアイヌにしなかったのかというと、アイヌの方々の圧力がかかって、手塚が自由に描けなかったからだ。
この件は、『ゴーマニズム宣言』で描こうと思う。

しかし驚くべきことに、手塚にとっては不本意な出来になったこの『シュマリ』という作品、読んでみるとものすごく面白い。

これで不本意だと言ってるのだから、最初の設定で自由に描かせたら、どれほど凄い物語になっていただろう。
手塚のストーリーテリングの上手さは、やはり神の域に達している。