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2018.01.13(土)

経営者の優しさは報われるのか?

 

昨日はスタッフとの新年会があったが、経理担当者から緊急動議が出され、「なぜ漫画をもっと描かないのか?」と糾弾された。

わしは自分が社会的に注目されていたから、描いているつもりでいた。
スタッフも描いているつもりでいたようだ。 

ところが現在、「SAPIO」と「FLASH」で月産20枚しか連載を持っていない。
あとは幻冬舎の描き下ろしを描いていたから、生産量が多いと感じていたわけだ。

だが、描き下ろし単行本はあくまでも一か八かの博打の世界で、漫画家の基本は原稿料だ。
原稿料でスタッフを雇っていかねばならない。
定期的には20枚の原稿料でスタッフを雇って行けるのか?
と動議が出され、当然だが全員、不可能という結論になった。 

考えてみれば『東大一直線』の頃は、アシスタント1名で、わしと二人で月産60枚描いていた。
このペースなら単行本は年間3冊も出て、すぐ各巻10万部に達していたから、巨額の印税が入ってきた。
これに月刊少年ジャンプで『救世主ラッキョウ』を始めて、月産85枚くらいを二人で描いていたのだ。

今年は新連載を始めるが、それでも月産44枚でスタッフ5名を雇うことになる。
無理があるのは分かり切っている。
漫画家だったら誰でもこれではやっていけないと分かるだろう。
しかもわしはスタッフの給料・ボーナス・社会保障までを出費している。まるで普通の会社並みの待遇である。
スタッフを甘やかし過ぎているのだ。 

だが実はわしは目立ってるだけで昔ほど描いていない。
これを自覚して、今年はもっと描かねばならない。
そもそもスタッフはネットで海外ドラマばっかり見て、ペン入れに集中していないのではないか?
生産量が恐ろしく低い気がする。 

スタッフが順番に風邪ひいて休んでいるのも、甘やかされ過ぎて、ぶったるんでいるのだろう。
わしも経営者として、社員を人間あつかいしすぎているのだろうか?
社会にはブラック企業だらけで、人間を奴隷としか見ていない経営者が多い時代だというのに。