2013.09.28(土)
宮崎駿のどうしようもない矛盾を語れ!
次回「ゴー宣道場」が単なる『風立ちぬ』の映画評と思ってやしないだろうか?
それは違うんだな。
映画評が関係ないとは言わないが、この映画は作者にも観客にも批評家にも、
歴史観のフィルターがどうしてもかかってしまう。
宮崎駿が「CUT」という雑誌でこう語っている。
「今、零戦の映画企画があるらしいですけど、それは嘘八百を書いた架空戦記を
基にして、零戦の物語をつくろうとしてるんです。
神話の捏造をまだ続けようとしている。
『零戦で誇りを持とう』とかね。それが僕は頭にきてたんです。
子供の頃からず――っと!」
「相変わらずバカがいっぱい出てきて、零戦がどうのこうのって幻影を
撒き散らしたりね。戦艦大和もそうです。負けた戦争なのに」
この映画は『永遠のゼロ』のことらしい。
わしは読んでいないが、『永遠のゼロ』だって戦争賛美映画ではあるまい。
作者は作品の中で 『零戦で誇りを持とう』 なんて言ってるのか?
多分言ってないだろう。
だが宮崎駿は作者をバカ呼ばわりしてまでゼロ戦を否定している。
一方、宇野常寛は零戦を 「暗黒の時代の殺戮兵器」と言って、
宮崎駿をマチズモと非難している。
高森明勅氏は『風立ちぬ』を4回も見に行ったそうだ。
わしはこういうところが面白いと思うのだ。
いまだに日本人はこういう思想的な捻じれを抱え込んで、
負け戦のコンプレックスに唸り声をあげている。
次回「ゴー宣道場」では、
この戦後思想の捻じれを解きほぐすことができるだろうか?
宮崎駿のどうしようもない矛盾を語ろうではないか!