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2016.12.02(金)

高森氏の新書は「生前退位」に関する論考の到達点

 

高森明勅氏の『天皇「生前退位」の真実』を読んでいる。
ゲラで読んだのは、わしが描いている『天皇論 平成29年』
に間違いがないかを確かめるために、ざっと流し読みした
だけだった。
細部まで熟読するのはやっぱり本になってからの方がいい。 

ここまで「生前退位」の問題点を整理できて、順を追って
正確に説明していくためには、憲法も、皇室典範も、
皇室の歴史も、皇室関連の学者や研究者や評論家の論考も、
将来の皇室のシミュレーションも、すべてを網羅して
自分の脳内で整理しておかねばならない。
ここまでやれる者は他にいないだろう。 

今後、「生前退位」についての論考を他に書く学者が
現れたとしても、絶対にその論考には瑕疵がある。
高森明勅氏のこの新書は到達点であるから、これ以上の
論点や解釈はあり得ない。 

ましてや男系固執派、つまり有識者会議に呼ばれている
者たちが、「生前退位」についての論考を書いたら、
ほとんどお笑い並みの、欠陥だらけの本になるに違いない。 

有識者というなら、高森氏を呼ばないのは絶対にあり得ない。

さて、そこで、わしの『天皇論 平成29年』である。
これは高森氏が行った制度に関する厳密な論考は
あらかじめ捨てている。
漫画に向かないのだ。
わしが描いている作品は、徹底的に庶民の情を揺さぶる
皇室の真相であり、皇室と国民の関わり方の話であり、
国民にとっての天皇の意義の問いかけである。 

高森氏が「論理」で、わしが「情念」で、皇室を守るため
には、なかなか強力なタッグだと思う。