作家と経営者のバランスが難しい
すごく申し訳ないことをした。
二人の編集者から1週間くらいの差で、同じテーマで描いて
くれと依頼があり、先に依頼された方にすでにOKを
出していた。
あとで依頼してくれた編集者には、同じテーマだったので、
驚いてしまって、一瞬「マズい!」と思ってしまい、
言葉を濁して誤魔化していたのだが、結局、もう一度
言われたときに、実は・・と事情を説明することになった。
もっと、いっぱい描けたらなあ。
なんで漫画ってこんなに時間がかかるのだろう?
依頼されることはありがたいことであり、期待に応えたい
のだが、『大東亜論』以外に漫画の描きおろしは、
年に一冊、スタッフが相当頑張るなら二冊が限界だ。
来年は『ゴー宣special』と『おぼっちゃまくん』の二冊を
必ず出す。
「今、描きたいもの」が、わしほどコロコロ変わる作家も
珍しいかもしれんが。
昨日、仕事場に行って、会社の方針について説明したのだが、
驚くことにわしの覚悟を一番分かってくれてたのは、ポカQ
だった。
わしの描く社会問題には全然興味がなく、普段すぐ熱出して
休んでるポカQが、案外、上に立つ者の苦労をよく分かって
いるのだから、人間は分からない。
ツカサのウイークリーマンションの社長が、今は福島で年金
だけで暮らしているとポカQが神妙に話していた。
落ちぶれた者の情報には敏感で、小心者だから、我が社が
いつ解散になるかという心配をしている。
「こち亀」の最終回より、秋本治のスタッフは解散なのかと
気にしていた。
漫画家なんてホームランか三振しかないばくち打ちの身分
だから、確かに将来が全然見えない。
だが、いったん全財産を失ったポカQが、老後に貧困に
落ちないようにするまでは、わしも働かねばならない。
作家と経営者、この両面のバランスをとるのが、難しい。
幸いにして描きたいものが尽きることがないから、あとは
年齢との勝負になってきている。