2016.09.04(日)
「こち亀」終了で新たな挑戦に期待
「こち亀」を終了させるとは驚いた。
ペンを持てなくなるまで描くかと思っていた。
毎週連載で200巻までとはよく根気が続いた。
わしのような飽きっぽい者からすれば、人間技ではない。
自分の意欲と人気投票、どちらかが崩れたら連載は続かない。
続けたいという意欲があっても、人気投票が悪ければ、
終わらせられる。
人気投票が抜群にあれば、逆に終わらせたいと思っても、
雑誌のためには難しくなる。
「こち亀」はもはや国民漫画とまで言われるようになったから、
終わらせるのも、作家・編集者の双方でジレンマが
あっただろう。
けれども他に描きたいものがあるなら確かに限界だ。
70歳までならあと10年しかない。
わしもあと10年で何を残すかといつも考える。
案外、80歳まで描いているかもしれないが。
『東大一直線』『おぼっちゃまくん』『ゴーマニズム宣言』、
今は『大東亜論』を完結するまで描きたいと思っているが、
まだ足りない。
まったく違うタイプの漫画も描きたい。
秋本くん(二人で呼ぶときは「くん」だ)はデビューが
同じ年で、担当編集者も同じだった。
今は集英社の代表取締役になっている。
秋本くんが60歳過ぎて新作に挑戦するのは、楽しみだ。
名前でガンガン宣伝してもらえるだろうが、漫画は名前の
権威も、宣伝による洗脳も、全然効かない。
恐ろしすぎる世界だから、今こそ素っ裸で挑戦する最後の
チャンスだろう。
なにより60歳過ぎてまだ健康というのが神の恵みだ。
兎と亀に例えたら、わしが兎で秋本くんが亀と思っていたが、
どうやら二人とも長距離マラソンのタイプだったようだ。
まだ過去を振り返るのは早い。レースの途中だ。
わしはようやく折り返し地点を回ったと思っている。
お互い、頑張ろうじゃないか。