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2016.08.30(火)

譲位でなぜ政治利用ができるのか?

 

天皇陛下が譲位(生前退位)を希望するご意向を
あれだけはっきり仰ったのに、まだ譲位そのものにまで
反対している者がいる。
東京新聞で笠原英彦が「天皇の地位、不安定化、懸念」を
表明している。
とことん「国民主権」が身に沁みついた者がいるんだな。 

譲位を認めたら、天皇の政治利用が懸念され、天皇の地位が
不安定化するという。
漠然と「政治利用」なんて言っても、何のことか分からない。
天皇と上皇、二つの権威が現れて、天皇に就くものと上皇に
就くものが出てきて、互いに玉を担いで戦うのだろうか? 

あり得ない。
天皇と上皇なら、天皇の方が上だ。
今後は天皇と上皇が同席した場合、上皇は天皇に頭を
垂れるだろう。

そもそも今上陛下が上皇になった場合、絶対に天皇に
迷惑のかかるような振る舞いはなさらない。
それは一国民として今上陛下を見てきて、もう確信を持って
信頼できることだ。 

では上皇を「玉」として担いで、天皇に叛逆するような輩は
出てくるのか?
野党がそれを実践するのか?
一般国民がそれをやるのか?
あり得ない。 

明治維新直後なら、その危険性は大いにあった。
『大東亜論』で描いている通り、薩長藩閥政府を倒す野望を
持つ者が大勢いたからだ。
だから伊藤博文は天皇の退位を認めず、終身制にした。 

だがもう民主政が普通になった今、政権転覆は選挙でやる
のが常識となった。
玉を担いで政権を揺るがすという行為は起こらないのだ。 

天皇の「政治利用」に関しては、今でも行われている。
民主党時代の天皇陛下と習近平の接見もそうだったが、
自民党だって、沖縄の「屈辱の日」428日を
「主権回復記念日」として祝う式典に、陛下を臨席させ、
万歳三唱をした。
さらに東京オリンピック招致のために、高円宮妃久子さまを
利用したのも、皇族の政治利用だろう。 

天皇にせよ、上皇にせよ、政治利用を防ぐのは国民の良識
しかないのだ。
法でどう規制したって、政治家は都合のいい時だけ、天皇を
政治利用し、天皇の「公」のための切実な希望は踏みにじる。 

天皇の地位が不安定化するのは、88日の玉音放送の
真の意味を踏みにじり、一代限りの譲位だけで済ませて、
皇太子不在の時代を数十年間も続ける選択を政府が
行ったときである。 

わしは、そうはならないと信じているのだが。