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2016.07.29(金)

井上達夫氏との最後の対談

 

今日は午後から井上達夫氏との3回目の対談、
これで終わる。
リベラルの考え方の原理が段々分かってきた。 

『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムのことは嫌いに
ならないでください』は分かりやすかったが、あれは
一般人向けに書かれた本で、『普遍の再生』や
『現代の貧困』は難解である。

本来、東大に入って(この時点で不可能だが)、井上氏の
講義をじっくり聴かなきゃ分からないのだろうが、
本を読んでぼんやり分かる範囲では、わしとはかなり違う。 

入れ替え可能性としての正義と公平は分かるのだが、
倫理的判定基準としての正義と公平は、果たして世界中で
普遍的になっているのか?なり得るのか?
簡単に言えば、国際法を完全に無視して、国家エゴだけしか
考えない中国人は普遍的な正義という理想が、頭の隅っこに
でもあるのか? 

わしとしてはやはり「常識」を判定基準に置くしかないと
考えるが、それは各国においての風土や慣習や歴史性の
違いがあるので、全世界における普遍的な正義や公平を
発見するのは大変なことだと思う。

だが、わしとしても価値相対主義に堕ちたら、世界は滅ぶしか
ないと思うので、井上氏の論考は大いに関心がある。 

特に「天皇」に対しては、基本的に民主主義を信じていない
わしと、井上氏は大きく違うようだ。
そこはかなり話し合ったから、本になったら比べてみてほしい。 

井上氏は東大教授だし、外見がもうわしのようなチャラチャラ
した感じとは全然違っていて、学者そのものの権威のある
風貌なので、負けたと思う。
だが、年齢はわしの方が一歳上なのだ。
漫画ばっかり描いてきた者と、常に成績トップで学者中の
学者になったものの風貌がここまで違ってしまうのかと驚く。

井上氏とわしの共通点は、偽善と欺瞞が嫌いということだろう。
そもそも井上氏ほどの権威を獲得した学者は、小林よしのり
との対談なんて受けない。
相手は在野の漫画家なのだ。リスクが大きすぎる。
だが、井上氏はあっさり受けた。
そこいらの学者とは全く違う何かがこの人にはある。