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2016.11.20(日)

自由貿易で経済成長なんかできない

 

安倍首相がペルーのリマで開幕したAPECで、
「(経済発展や貧富の格差の解消には)開かれた市場と
経済成長の実現が不可欠だ」
と言ってるらしい。
首脳会議では保護主義に対抗し、自由貿易体制による
「開かれた経済」を堅持する重要性を確認する見通しだ
という。
「自由貿易が貧富の格差を広げているとの誤解を解くべきだ」
なんて、しゃかりきに言っている。
トランプがTPPから離脱しそうだから、ますます熱を帯びて
自由貿易のドグマを宣伝している。 

自由貿易の有効性の根拠はリカードの「比較優位論」しか
ないが、「イギリスは毛織物、ポルトガルがワインに特化して
分業した方が、両国の生産量も利益も増える」という理屈である。
ところが、そもそもイギリスが毛織物を輸出可能な産業に
まで押し上げたのは国家による「保護貿易」の成果である。 

今や経済学の趨勢は、自由貿易で経済成長が達成される
という説を否定している。
「保護貿易」こそが経済を成長させるのだ。
トランプ周辺の者たちはこのことに気づいたのではないか? 

トランプはリンカーン以来のアメリカの伝統に立ち返って、
関税で自国の産業を守って、まず内需を活性化させるべく、
公共投資に向かおうとしてるのかもしれない。
日本はすっかり遅れている。 

自由貿易・グローバリズムは「底辺への競争」になって、
中間層を崩壊させ、格差を極限にまで拡大させる。
どうせ「イラク戦争は失敗する」と忠告しても聞かなかった
日本政府だから、負けるまで自由貿易のドグマに浸りきって
しまうのだろうが、馬鹿は死ななきゃ治らないから、
手の施しようがないのだ。